発起設立と募集設立

 株式会社の設立方法には、大きく分けると発起設立と募集設立の2種類があります。

 発起設立とは、設立企業の企画者である発起人が、会社設立時に発行する株式の全てを引き受ける設立方法で、自ら資本金の全てを出資して、会社を設立しようとする場合には、発起設立の方法で設立されます。

 募集設立とは、発起人が設立時発行株式の一部を引き受け、残りの株式については、広く一般に株主を募集するという方法です。
 このため、募集設立では、発起人以外の外部の者からも出資を受けることとなりますので、多額の資本金を集めることが可能となりますが、その反面、第三者株主を保護するために、その設立手続きが厳格に定められおり、発起設立に比べて時間も費用もかかってしまうことになります。

 多くの場合、手続きが簡単な発起設立の方法で株式会社が設立されるケースがほとんどで、発起設立による会社設立の所要日数は10日から2週間です。

 それでは、発起設立を前提として、株式会社設立手続きの流れを見ていきましょう。

株式会社設立の流れ

STEP1:会社の概要決定

 株式会社設立の手続きをする上で、必ず最初に決めておく必要がある事項は、おおむね以下の通りです。(詳しくはコチラ)
 これらの事項は、会社の最高内規である「定款」に記載するものと定められています。

  1. 商号
  2. 本店
  3. 目的
  4. 発起人の氏名、引受株数、出資金額
  5. 役員、取締役の任期、監査役の任期
  6. 株式の譲渡制限
  7. 発行可能株式数、設立時に発行する株式数、1株当たりの発行価額、資本金の額
  8. 事業年度
  9. 公告の方法
ステップ

STEP2:法務局での類似商号の調査

 類似商号の調査とは、会社の本店がある市区町村内に同様の仕事内容の会社で、同じ商号の会社または類似の商号の会社があるかどうかを調査することです。

 平成18年の新会社法による規制緩和によって、類似商号の規制が撤廃され、同一市町村、同一目的、同一商号であっても、設立登記が可能となりました。
 しかしながら、会社法においても、不正競争防止法においても、類似商号によって他社の営業上の利益を侵害することが禁止されていますので、類似商号に該当した場合は、同一、類似の商号を既に所有している会社から損害賠償をされるリスクがゼロではありません。

 このため、類似商号は避けるに越したことはなく、事前に法務局において、類似商号に該当しないことを確かめておくわけです。
 インターネットの検索によって、類似商号が無いことを確かめるだけでも構いません。

ステップ

STEP3:印鑑の作成および印鑑証明書の取得

 類似商号の調査が終了すると、これから会社を運営していく上で必要になる各種印鑑の作成を依頼しましょう。

 法人設立登記の際には、法人の実印となる印鑑を、法務局にて印鑑登録しなければなりません。しかしながら、それまでこの世に存在しなかった会社の実印ですから、事前に新しく作成しなければなりません。

 代表者の個人印を、会社の代表印として届出することも可能ではありますが、一般的には「商号」と「代表者の役職名」が入ったものを使用します。

 また、この会社の実印は、「辺の長さが1cm以上3cm以下の正方形に収まるもの」としてサイズが決められていますので、注意してください。
 はんこ屋さんに「法人の代表印を作りたい。」と言えば、事情がわかってもらえますので、間違いがないでしょう。

 さらに、法人設立の際には、必ず個人の実印が必要となります。「実印」とは、個人がその住所地である市区町村に登録している印鑑のことです。印鑑登録を済ませていない方は、事前に市区町村に印鑑登録しておく必要があります。

 設立手続きのための必要な書類は、印鑑証明書で、氏名や住所を確認しながら作成しなければなりませんので、早めに準備をする必要があります。

 なお、登記申請の際にも、発効から3か月以内の印鑑証明書が必要となります。

ステップ

STEP4:定款の作成

 「定款」とは、会社の組織や運営、株主の地位などを定めた会社の根本規則のことをいい、会社にとって憲法に当たる最高ルールとなります。

 定款は、発起人によって作成され、発起人全員が記名し、実印を押印しなければなりません。

 必要な事項を記載し、3部(会社保存用原本、公証役場提出用、法務局提出用)作成しておきます。

ステップ

STEP5:定款の認証

 定款は公証役場で認証を受けることで、はじめて法的な効力を持つことになりますので、設立登記申請の前に、この認証を受けておかなければなりません。

 原則的な認証手続は、発起人全員が実印と印鑑証明書を公証役場に持参するものとされていますが、発起人のうちの一人や司法書士などの第三者に手続きを委任して、発起人全員が公証役場まで出向くという煩わしい作業を避けることができます。

 この場合には、その代理人が、発起人からの委任状と印鑑証明書を持参することになります。

 定款認証の法定費用は認証手数料5万円、収入印紙代4万円、謄本は1ページ250円となっていますので、およそ10万円ほどの手数料がかかります。

 定款を電子文書(PDFファイル)として作成し、法務省へオンライン申請を行って電子認証を受けることもでき、その場合には印紙代4万円が不要となりますが、電子定款の作成自体がなかなか面倒な仕組みとなっていますので、司法書士などのプロに依頼したほうがよいでしょう。

ステップ

STEP6:出資金の払込み

 出資金を株式会社設立の企画をする個人の口座に振り込みます。設立登記の申請の際に、「払込があったことを証する書面」を添付しなければなりませんので、払い込み履行に合わせて、この書類も作成しておかなければなりません。

 最も簡単な方法は、発起人の口座に出資払込金を入金し、預金通帳のコピーと「払込があったことを証する証明書」を添付する方法で、 預金通帳 のコピーには、該当する入金記録の箇所に下線をひいておきましょう。

 この場合、振込人の名前が通帳に記載されていなくても問題にはなりませんので、ATMなどで入金することも可能です。

ステップ

STEP7:設立登記申請書の作成と登記申請

 すべての手続きが完了すれば、あとは所定の書類を揃え、設立登記申請書と一緒に法務局に提出するだけです。

 設立登記申請の詳細はコチラ

 設立手続きに不備があった場合には、設立が認められない場合もありますが、簡単な書類上の不備については、ちょっとした訂正によって、法人設立が認めてもらえます。
 このため、登記申請からおよそ1週間後に「補正日」というのが設けられ、その日に種類上の不備を補正することができます。「補正日」に問題事項の指摘が無ければ、法人設立手続きは完了したことになります。

 なお、登記を申請した日が会社の設立日になります。

 設立登記が無事に済めば、その後の手続きのために法人の登記簿謄本を必要部数入手しておきましょう。

ステップ

STEP8:諸官庁への届出

 会社設立の登記まで終わりましたら、税務署、社会保険事務所などに、法人を設立した旨を届け出なければなりません。

 また、飲食店や不動産業など、関係官庁から営業許可を取得しなければ、事業を開始できない産業もありますのでご注意ください。

 これで法的な手続きは全て終わり。
 会社をスタートさせ、あなたの夢を実現させてください。



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