消費税とはどのような税金か

消費税は「間接税」の仲間

消費税は「間接税」の仲間

 今年の4月から税率が8%に上がるってことで、新聞やニュースでも騒がれていましたから、皆さんにとって、「消費税」という税金はかなり馴染みのある税金では無いかと思いますが、その仕組みを正しく理解している方は、それほど多くないようです。

 消費税とは、呼んで字のごとく「消費」に対して課される税金であり、最終的には消費者が負担すべき税金です。消費者というのは、私たち一般人や一般家庭を指しているわけですが、消費者自らが消費税を納めに行くという話しは聞いたことが無いでしょう。

 確かに、買い物をするたびに8%の消費税を上乗せされて払いますが、納税をしているとは思ったことはありませんね。実は、消費税の納税は事業者によって行われており、私たち消費者が実際に納税する場面は無いのです。

 このため、消費税というのは、どうも税金を負担しているという印象が薄い気がしますね。

 さて、事業者は、個人事業者であれ、法人であれ、消費税の納税義務を負うこととされており、売上代金と合わせて、消費税をいったん預り、仕入や経費の代金と合わせて支払った消費税との差額を納めるという仕組みとなっています。

 この場合、預った消費税の方が多ければ納税となりますが、反対に、支払った消費税の方が多ければ還付を受けることができます。

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 単に、預ったものを納めるだけですから、事業者は、単に納税義務を負うだけで、消費税そのものを負担しているわけではありません。このように税金の負担者と納税義務者が異なる税金を「間接税」と呼びます。

消費税の課税取引とは

 消費税は、事業者が販売取引において、その取引価格に8%を上乗せして預かるところからスタートします。
 消費税法では、「国内において、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供」について課税されると規定されており、ほとんどの取引は消費税が課税される「課税取引」となりますが、消費税が課税されない取引もありますので注意が必要です。

 例えば、海外で買ったお土産は国内取引でないため課税されませんし、また、祝儀、香典などは、対価性が無いため消費税はかかりません。
 こうした取引を「不課税取引」といいます。

 また、「課税取引」であっても、取引の性格から、消費税を課することが適切でないとされる、なじまない取引があります。
 これを「非課税取引」といい、全部で15種類あります。

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 なお、商品を海外に販売する輸出取引については、取引の性質上は課税取引となるはずですが、外国の人に我が国の消費税を負担させるわけにはいきません。
 このため、輸出取引は、課税取引に含めながらも、税率を0%としています。これを「輸出免税取引」といいます。

消費税の免税事業者とは

 消費税のポイントは、この税金の負担者は一般消費者であって、事業者は単に納税の義務だけを負うという点ですが、事業者であっても、消費税の納税義務を免除されることがあります。このような事業者を「免税事業者」といいます。

 まず、法人については、前々事業年度(これを「基準期間」といいます)の売上高及び営業外収益のうち課税取引に該当するもの(これを「課税売上高」といいます)が、1000万円を超える事業者のことを「課税事業者」といい、消費税の納税義務が生じます。
 裏を返せば、「基準期間」における「課税売上高」が1000万円以下であったならば、消費税の納税義務は免除されます。

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  このような免税制度の背景としては、売上規模が比較的小さい小規模事業者にとって、消費税の計算や事務作業はあまりにも煩雑であるという配慮があります。
 まあ、まともなビジネスをやっていれば、売上高1000万円なんていうのは、すぐに達成され、納税が始まってしまうでしょうが・・・

 ところで、この免税制度について、新規開業や法人の新設については特別な取り扱いがあり、創業者にとっては、この辺りも見逃すことができません。

 新規開業、法人新設の取り扱いについては、コチラをご参照ください。

消費税の計算方法は2通り―本則課税制度と簡易課税制度―

消費税の計算方法は2通り

 消費税の納税額は、「預かった消費税」から「支払った消費税」を差し引くことによって計算することが原則です。そして、預った消費税から支払った消費税を差し引くことを「仕入税額控除」と呼びます。
 また、このような正規の計算方法で納税額を計算する方法を「本則課税」と呼びます。

 ところが、この原則的な計算方法はかなり面倒くさい作業となります。何しろ、ひとつひとつの取引に対して、課税取引であるのか、非課税取引や不課税取引であるのかを正確に区別しながら、「預った消費税」と「支払った消費税」を正確に集計しなければなりません。

 このような事務負担は、中小零細事業者には荷が重いだろうと言う配慮から、簡便的な計算方法を用いることが認められています。
 その方法というのは、「預かった消費税」さえ正しく計算しておけば、「支払った消費税」の正確な計算を省略し、「預かった消費税」の一定割合を「支払った消費税」とみなすというもので、「簡易課税」と呼ばれます。

 この一定割合のことを「みなし仕入率」といい、法人が行う業態によって、5種類の「みなし仕入率」が定められています。

簡易課税制度の事業区分の表

事業区分みなし仕入率該当する事業
第一種事業90%卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。
第二種事業80%小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種事業以外のもの)をいいます。
第三種事業70%農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第一種事業、第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。
第四種事業60%第一種事業、第二種事業、第三種事業及び第五種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業、金融・保険業などです。
なお、第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第四種事業となります。
第五種事業50%不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第一種事業から第三種事業までの事業に該当する事業を除きます。

 「簡易課税」の適用を受けたい場合には、所定の届出書を、その事業年度開始日の前日以前に提出しておかなければなりませんが、そもそも、この「簡易課税」は小規模な企業にのみ認められた方法です。
 このため、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えていると「本則課税」で計算しなければならないこととされています。

消費税で損をしたり得をしたりすることがあります

 消費税は、本来であれば「預かった税金をまとめて納めるだけ」のはずですが、先に説明した「免税事業者」という制度と、「簡易課税」という制度があるために、損したり得したりということが起こってきます。

 まず、「免税事業者」の場合は、本来であれば納めるべき税金があったとしても、それを納めずにもらっちゃっていいわけですから、かなりお得な話になってきます。

 私の会計事務所は、個人事業の会計事務所から税理士法人へと法人成りした際に、2年間にわたって免税事業者となったものですから、1,000万円近く得をしちゃいました。

 次に、「簡易課税」を選択している場合、「みなし仕入率」という、実際に支払った消費税の額とは、全然関係の無い計算によって消費税の納税額が決まります。
 そうすると、実際に支払った消費税がほとんど無いという場合でも、一定の仕入税額控除が計算されることになり、納税額がかなり安く収まるということが起こります。

 私の経験では、経費全体に占める人件費の割合が非常に高い産業、例えば、学習塾などでは、簡易課税の選択により大きなメリットがあります。

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消費税の還付を受けられずに泣き寝入り

 ところが、ここで気をつけて欲しいのは、「免税事業者」も、「簡易課税」を選択した事業者も消費税の還付を受けられないという点です。

 例えば、大きな設備投資や在庫投資があった場合には、そこで支払った消費税額を、その年の仕入税額控除の対象としてよいこととなっていますので、巨額の還付を受けるケースというのは、それほど珍しいものではありません。

 しかしながら、 「免税事業者」や、「簡易課税」を選択した事業者が、大型設備投資をしてしまって、消費税の還付を受けられずに泣き寝入りするという話も、これまた珍しい話では無いので困ってしまいます。

 このため、ビルを建設予定があるとか、新店舗を開設したいなど、大きな投資が行われることが、あらかじめわかっているのであれば、あえて「簡易課税」を選択せずに「本則課税」を選択したり、「免税事業者」であっても、自らすすんで「課税事業者」になることで、還付のメリットを受ける準備をしておく必要があるかもしれません。

 ところで、今、「建設予定」とか、「あらかじめわかっている」とか、「準備をしておく」と説明したのには理由があります。

 それは、「簡易課税」から「本則課税」に切り替えたり、「免税事業者」が「課税事業者」になることを選択したりする手続は、いずれも、適用を受けたい事業年度の開始日の前日以前に済ませておかなければならないからです。
 ですから、前年の間に各種の届出書を提出しておかなければなりません。



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