源泉所得税とはどのような税金か

サラリーマンは源泉徴収される

サラリーマンは源泉徴収される

 法人の所得に法人税が課税されるように、サラリーマンや事業主といった個人の所得に対しても、所得税という税金がかかります。

 本来、所得税も「申告納税制度」による税金なので、従業員の所得税は、従業員本人が自ら納税すべきです。
 皆さんも、2月15日から3月15日までに行う確定申告をご存知だと思います。実は、あれこそが、個人の所得税の確定申告なんです。

 ところが、日本のサラリーマンのひとりひとりが一斉に申告しなきゃならないとなると、税務署は、その膨大な事務処理でてんやわんやになってしまいますので、サラリーマンの所得税については、特別な仕組みが設けられています。

 その仕組みというのは、会社が従業員の給与を支払う際に、彼らの所得税を、給与から天引きし、会社がいったん預かった上で、従業員に代わって、まとめて払ってあげるという、一見、親切な仕組みになっているのです。
 この仕組みのことを「源泉徴収」といいます。

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 「源泉徴収」される所得税のことを「源泉所得税」と呼びますが、これは、もちろんサラリーマン本人が負担する税金であって、会社は、単に事務負担をしているだけです。税務署が面倒だから、会社がやらされているわけですね。

 ところが、この源泉徴収という手続きは、会社の義務として定められているため、これを怠ると罰金もあったりして厄介です。
 従業員から「税金は自分で払うから源泉税を天引きしないでくれ」と頼まれて、会社が気持ち良く応じてしまうと、会社は源泉徴収義務違反とされてしまうのです。

源泉徴収の手順

それでは、源泉徴収の手順を見ていきましょう。

(1)「給与支払事務所等の開設届出書」の提出

 まず、会社が従業員に対し給料の支払いを開始する前に、この届出書を税務署に提出しておかなければなりません。
 これは、「これから、うちの会社は、給与を払うことになりましたので、源泉徴収を始めます。よろしくね。」という意味合いのものだと思ってください。

(2)扶養控除等申告書の備え付け

 従業員の方に扶養親族の状況等を記載した「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出してもらい、会社内に保存します。源泉徴収の税額は、給与の金額と、扶養人数によって計算しますので、事前に、この届出書をもらっておかないと、正しい計算ができなくなってしまうのです。

(3)源泉所得税の徴収

 実際の給与支給の際には源泉所得税額を天引きしますが、その税額は、「給与所得者の源泉徴収税額表」という早見表に定められています。この早見表でいうところの給与の金額は、社会保険料等を差し引いた後の金額だということに注意して下さい。

(4)源泉所得税の納付

 預かった源泉所得税は、原則「その給与等を支払った月の翌月10日まで」に、会社が全従業員の分をまとめて納付することになっています。この納付は、所定の納付書を使って、管轄税務署又は最寄の金融機関等から行います。
 源泉所得税については、この納付が申告と同様の効果を持っていますので、うっかり納付を忘れてしまうと、「無申告」と同等の罰金を払わされますので、十分な注意が必要です。

源泉所得税の納期の特例

源泉所得税の納期の特例

 源泉所得税の毎月の納付は小さな会社にとって、かなり面倒な事務です。このため、源泉徴収の対象となる給与所得者が10名未満の小さな会社に限っては、事務負担を簡略化するために、「半年に一度まとめて」納付することができ、これを「納期の特例」といいます。

 この「納期の特例」を利用すれば、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税は翌年1月20日(納期限の特例が無い場合は1月10日)と、年2回の納付で済ませることができます。

 この特例を受けたい場合には、その月の前月までに「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を作成し、税務署に提出して下さい。

報酬の源泉徴収

 源泉徴収制度は、従業員や役員といったサラリーマンに限った制度ではありません。以下のような個人事業の方に対する支払いがあった場合にも、源泉徴収を行い、翌月10日までに納付を行う義務があります。これを「報酬・料金の源泉徴収」と言います。

 この場合の注意点としましては、

  1. 納付書は給与のとは別のものを使います。
  2. 原則として「納期の特例」は利用できません。
  3. 源泉徴収する所得税の金額は、報酬・料金の10%です。ただし、ひとりの人に対して、1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、その超える部分については20%となっています。

年末調整とは

 ここで注意して欲しいのは、毎月の徴収税額は、あくまでも概算であるということです。 
 何しろ、給与の金額と、扶養者の人数だけをもとに、簡単な早見表で源泉税額を算定していたわけですから、正確な計算ではないわけです。
 このため、1年間の正しい所得税額をどこかで計算し直して、正確な税金を払わせなければなりません。

 ところが、個人事業主であれば、確定申告を行って、正しい税額を申告していますが、サラリーマンの場合は、必ずしも全員が確定申告をしている気配もありませんね。

 実は、サラリーマンの税額確定の計算も、会社がやらされることになっています。サラリーマンというのは、原則として、会社からの収入しかないはずですから、「会社で面倒を見ろ」ってことになってるわけです。

 このサラリーマンの税額確定の計算を「年末調整」と呼んでいます。

 つまり、12月分の給与を支払う段階で、その人の1年間の給与所得は確定しますので、そこで、正確な税金計算を行い、毎月の源泉徴収による概算納税額との差額を調整しなければならないのです。

 概算徴収額の方が正確な所得税額よりも少なければ、12月分の給与から、その不足分を追加的に徴収しますし、もしも、概算徴収額の方が多かった場合には、12月の給与と合わせて返金してあげなければなりません。

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 一般的なサラリーマン、つまり、その会社からもらう給与以外に所得が無い人達については、この年末調整で、その年の課税関係は完全に終了します。

 ところが、例えば、会社からの給料以外に、不動産の賃貸収入があったり、株の売買で所得があるなんて人は、そんなものまで会社にやらせるわけにもいきませんから、年末調整をしてもらった後でも、確定申告をしなければなりません。

 また、医療費の所得控除のように、年末調整で調整しきれない項目もあり、そういった調整が必要な人も、年末調整後に、通常の確定申告が必要になります。



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