経営者のための銀行取引の基礎講座

普通預金

<概要>

 最も基本的かつ使用頻度の多い預金で、ペイオフの適用範囲内の預金です。
 ほぼ全ての金融機関で、毎年2月と8月に約定金利分の預金利息が付与されますが、利率は非常に低く、受け取れる利息も雀の涙です。

 以前は同一名義でなければいくつでも口座を開設することができましたが、ペイオフと個人情報漏洩・犯罪目的使用防止への対策として一金融機関一名義一口座が原則とされています。

<注意点>

 現在では、コンビニエンスストアのATMでもほぼ全ての金融機関との時間外取引が可能になっていますが、提携金融機関以外だと取引ができなかったり、高い取扱手数料が発生することがあります。

 通常、個人名義預金の場合は、定期預金などを担保にして口座貸越をすることが可能で、突然の残高不足に対処してくれますが、法人名義の普通預金では、この口座貸越は利用することができません。

<特殊事項>

 普通預金は、ほぼ全ての金融機関にある基本的な預金ですが、日本政策金融公庫には普通預金は存在しません。

 仮に日本政策金融公庫から借入を行なった場合、あらかじめ普通預金のある金融機関を融資実行金の振込先として指定することになり、同時にその普通預金がその後の返済口座となります。

 このため、返済金分は常にその口座へ残しておかないと返済金延滞などの事態を招きかねないので注意が必要です。

 「ペイオフ」とは、一金融機関につき預金利息が付与される全預金の元金総額が1,000万円までは、金融機関破綻時に預金保険機構が保証するというものです。
 このため、一金融機関あたりの元本総額を1,000万円以内に抑えておけば、金融機関の破たんリスクを回避することができます。
 しかしながら、事業規模が大きくなると1,000万円以内に抑えることは困難となるでしょう。

当座預金

<概要>

 当座預金とは、事業の資金決済に最適な無利息の預金で、当座預金を開設することによって小切手や手形を利用することができるようになります。

 小切手を利用すれば、支払先へ小切手を振り出して手渡すだけで支払いを済ませることができるため、振込の必要がありません。また、約束手形を振り出せば、実際の決済を手形期限まで伸ばすことができ、資金繰りの面で便利です。

 しかも、手形を受け取った相手先は、その手形を裏書譲渡することができますので、その手形の支払期限を待つことなく、支払に充てることができます。
 さらに、取引先から受け取った約束手形は、金融機関に持参することで、期限前に資金化することも可能です。これを手形割引といいます。

 注意しなければならないのは、小切手や手形を振り出した後に、当座預金の残高が不足するようなことがあると、それらの手形・小切手は「不渡り」になってしまうということです。
 この「不渡り」が2回あれば、強制的に銀行取引停止処分を受けますが、現代の商取引で銀行との取引が完全に停止されるということは、事実上の倒産を意味します。

 当座預金には、このようなリスクがあるために、「当座貸越」という緊急融資を事前に契約することができます。これは、当座預金残高に不足が生じ、不渡りが発生しそうになると、契約の範囲で、不足額を自動的に融資してくれる仕組みです。

<注意点>

 当座預金はペイオフの適用外です。従って、金融機関が破綻した場合には、その残高は一切保証されません。

 小切手や約束手形の現物盗難は、同時に資金盗難に繋がりかねないため、未使用の小切手や約束手形に、あらかじめ届出印を押印しておくようなことは、絶対に行ってはなりません。また、未使用の小切手・手形の現物管理は厳重に行うべきです。

<特殊事項>

 昨今の傾向として、当座預金は計画倒産などの犯罪に繋がりかねない預金であることや、取扱金融機関の事務簡略化促進の目的から、口座の新規開設に消極的な金融機関が増えています。特に、都市銀行では、まず新規開設には応じてもらえないでしょう。

 不渡りによる銀行取引停止処分は、不渡りを2回発生させたときの取扱ですが、不渡り1回目で全金融機関の共有情報として認識され、事実上の当座取引停止と貸出金回収の措置が行われるようになります。このため、1回でも不渡を出してしまうと、その後生き残る可能性は非常に低くなると言えるでしょう。

納税準備預金

<概要>

 納税専用に使用する預金です。原則として、税金の納付書を同時に金融機関の窓口に提示しなければ、この口座から出金することはできません。

 この預金の特徴は、普通預金に比べて預金利息が高めに設定されていることです。また預金利息が非課税とされます。預金利息の付与は普通預金と同じく、通常毎年2月と8月になっています。

<注意点>

 この預金は納税以外でも使用は可能ですが、1回でも納税目的でない出金をしたならば、直近の預金利息付与時に普通預金と同じく、国税として15.315%、地方税として5%の源泉所得税が徴収されます。

 また、納税準備預金も、ペイオフの適用があります。

<特殊事項>

 昨今では、昔と違って預金利息自体が非常に低利であるため、普通預金との差別化が困難になっています。
 また利便性もあまりいいとは言えないので、納税準備預金の使用頻度は低迷しているようです。

 しかしながら、消費税率がこの先10%に引き上げられ、企業の資金繰りに大きな影響を及ぼす可能性が高くなっている昨今の状況において、納税時に備えて資金をプール(拘束)するという意味において有効な預金かもしれません。

定期預金

<概要>

 一定の期間、解約しないことを前提に、普通預金よりも高めに預金利息が設定されている預金です。

 期間設定は最低1ヶ月~5年(金融機関によっては最長10年もあります)。
 3年以上のものについては、半年ごとに定期預金利息が付与される「半年複利」という商品もあります。

 邦貨だけでなく外貨による預入も可能で、1,000円以上の金額から預入が可能です。
 また、この預金はペイオフの適用範囲内です。途中解約すると、利息は普通預金利率として日割りで扱われたものとして計算されることとされています。

<注意点>

 外貨の場合、邦貨よりも預金利率は高めとなりますが、為替変動によって、元本割れする可能性があります。
 従って、いざという時に途中解約すると、大きく元本割れしてしまい、不慮の事態を招きかねませんので注意が必要です。

<特殊事項>

 定期預金及び後述する定期積金は、金融機関に「預金担保」として差し出すことで低利で融資を受けることが可能となります。
 ただし、昨今では、都市銀行を中心に、このような形態での法人融資が回避される傾向にあります。

 また、一度預金担保として差し出した預金は、それに対応する借入金を返済しない限り、満期日が到来しても返還されないものとされます。
 預金担保には、「根担保」と「限定担保」というものがありますが、「根担保」を設定してしまうと、その銀行から借りている全ての借入金を返済しない限り、担保から外すことができなくなります。

 さらに、預金担保に供していない場合であっても、預け先金融機関からの借入返済が延滞していたりすると、定期預金の中途解約に応じてもらえないケースがあります。
 預金担保として拘束されていない限り、最終的には解約には応じてもらえます。

定期積金

<概要>

 毎月決まった日に定額を預け入れ、一定の期間解約しない代わりに高めの預金利息を付与される預金です。

 定期預金と同じく外貨建てでの預け入れも可能で、期間も最短1年~5年ですが、ほとんどの金融機関では定期預金のような「半年複利」のような利息付与はありません。

 リスクについては定期預金とほぼ同じですが、一度に大きな金額で預け入れる定期預金とは違い、原則的に掛金を毎月コツコツと貯金できる点が特徴です。
 財産形成目的で利用されることが多く、融資を受ける際に銀行から勧められることも多いようです。

 一口1,000円からの積立が可能で、途中解約した場合の利息の取り扱いについても定期預金と同じです。

<注意点>

 あまりにも大きな積立金額で、長期の契約をしてしまうと、途中解約となってしまう可能性が高くなりますので、注意が必要です。

 あらかじめ契約された毎月の積立日のことを「掛込日」といいますが、この掛込日にお金を準備できずに遅れるようなことがあると、知らぬ間に満期日がその分遅れていく仕組みとなっています。
 これを知らずに、契約時にあらかじめ表示された日が満期日だと思いこんでいると、結果的に、途中解約扱いとされてしまうことがありますので注意して下さい。

<特殊事項>

 定期積金を預金担保として差し出したまま満期を迎えた場合には、解約返戻金がそのまま定期預金とされ、継続的に拘束されることになります。



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