創業融資を受けるためのポイント
事業計画

創業融資の最大のポイントは、融資審査の対象資料が極めて少ないということです。
何しろ、事業の実績というものがありませんから、「やってみないとわからない。」という状況の中で融資審査が行われなければならないわけです。
そうなると、最も重要なのは、「事業計画」であるということになります。「事業計画」が納得のいくものであり、実現可能性が十分に高いものと判断されれば、融資は実行されるでしょうし、「事業計画」が甘すぎたり、現実離れをしていたり、矛盾だらけだったり、とにかく信用に値しないと思われてしまえば、融資の話も無かったことにされてしまうでしょう。
以下、「事業計画」作成の留意点を示しておきましょう。
(1)創業者の経歴と事業内容の紹介、起業の趣意
まずは、自己紹介をしなければなりませんが、融資審査のひとつの判断材料は、「創業者が新しい事業に精通しているか」という点です。
実は、実績に乏しい創業者の融資審査には、創業者自身の経験というものが、非常に重要な審査項目となっています。創業者のこれまでやってきた経歴を通して、新事業の安全性を判断するわけです。
もちろん、インタビューなどを通して、創業者の経歴についてはしつこく尋ねられると思いますが、事業計画書にも、このあたりのことを詳しく書いておくとよいでしょう。
ところで、サラリーマン時代は文房具の問屋に勤務していたのに、突然、ペットショップを始めますなんていうケースは、リスクが高いと思われても仕方がないでしょうね。
こういう場合に、融資は厳しいものとなってしまいます。
でも、もしも、趣味であるとは言え、三度の飯よりも犬が好きで、犬のことならなんでも知っていて、最近のペット事情に高い見識を持っており、何よりも犬と犬好きの人たちのために一生を捧げたいという熱意があり、それを的確に表現してできるのであれば、それは評価に値するかもしれません。
ですから、自分は事業を通じて何がしたいのか。どのように社会に貢献したいのか。そういう創業に対する思いを語るべきだと思います。
あなたの思いが伝われば、融資担当者の気持ちも変わるかもしれません。
(2)事業の強み
そうは言っても、熱い思いだけで上手くいくほど商売は甘いものではありません。事業が成功するためには、それなりの強みが無ければなりません。 時代の潮流に乗っているのか。同業他社との違いは何か。品質なのか、価格なのか、ビジネスモデルなのか。
相手が「なるほど」と思うような強みを表現できなければ、融資は遠のいてしまいます。
(3)資金計画
売上高の計画や、仕入、人件費、諸経費の計画、設備投資の計画、そして、それらを統合した将来の資金計画は、もっとも細かく審査を受ける部分でもあります。
もっとも大切なことは、あなたの事業プランと資金計画に矛盾点が無いかという点です。
また、十分な調査にもとづいて数字が積み上げられており、希望的観測や単なる憶測だけで数字が作られていないという点も重要です。
また、中小企業総合研究所が行った実態調査を見ると、融資審査の現場では、3年前と比べると「債務償還能力」というものが重要視される傾向にあります。
つまり、本業のキャッシュフローが借入金の返済額を上回るという計画が示せますかということになります。
資金計画の最終的な収支は、当然のことながら借入金の返済を順調に行い、なお利益を生むようなものでなければならないわけです。
今までやったことがない方にとって、現実的で、整合性が高く、かつ魅力的な資金計画を作るというのは、難しい作業かもしれません。
できれば、プロに手伝ってもらった方が確実です。
(4)見込み顧客と予定仕入先
現実的な計画であるかどうかの判断としては、具体的な見込み顧客があるか、仕入先は具体的に確保されているのかという点も重要になってきます。
多くの企業が予定通りの売上高を獲得できないことで、業績が悪化しています。金融機関も、そんなことは百も承知ですから、事業計画書に書き込まれた売上目標を鵜呑みにしてくれるということはありません。
それでも、嘘だと決めつけているわけでもなく、要は「根拠を具体的に示してくれ」と思っているわけです。
ですから、この辺りが曖昧な計画というのは、「根拠不十分」ということになって、だいたい上手くいかないものです。